2021/01/22 00:52
長期出張から帰って来た父からのお土産がブローチだった。
当時の私は何年生だったのだろう。
記憶の曖昧さから推測するに、おそらく小学3年生前後。
もちろん身につける機会などある筈もなく、宝物入れの箱にしまって、時々出しては、眺めていたように思う。
本物の宝石ではなかったにせよ、単なるおもちゃでもなかった。
大きな赤い石がひとつと小さな赤い石がみっつ。ループ状のゴールドで装飾してあり、とても綺麗だった。
おそらく、この時期に、ブローチは時々箱から出して眺めるものと刷り込まれたに違いない。
成人してからも、人並みに、ネックレス、ペンダント、イヤリング、指輪等を身につけることはあっても、ブローチには全く縁がなかった。
何となく、おばさんの装飾品のような気がしていたことも確かだ。
やがて、自分自身がおばさんになり、いろいろなご縁でいくつかのブローチを所持するようになった。
それでも、なかなかそれを身につける機会はなかった。
「ブローチ使いが上手な方は、お洒落上級者だそうですよ」
デパートやブティックでよくそのような声を聞いたが、別にお洒落上級者を目指しているわけでもないし、何はともあれ、私は、イヤリングが好きなのだ。そう思っていた。
そんな私が、ブローチという存在に一目置くようになったきっかけは、映画「ミニヴァー夫人」のワンシーンである。
突然の来客。
失礼があってはいけない相手。
でもこちらとて、卑下する必要はない。
急いでブローチをつけて、凛として客人を出迎える。
この場面でのブローチは、とても存在感があり、主演のグリア・カーソンの気品と美しさを引き立てていた。
このときから、ブローチは、気になる存在なのである。
マスクが必須アイテムとなった昨今、大好きなイヤリングを楽しむことが難しくなった。
今こそ、ブローチにチャレンジする絶好の機会なのかも。
密かに、お洒落上級者を目指してたりして・・・